since aug,27th '06





 不思儀な国のまぶる PSO2編
2 comments
0 trackbacks

「キスして欲しいの キスして・・・ 」

伸江は懇願するようなその涙で潤んだ目をタカシの瞳に向け焦点を合わせた。

午後11:30・・・ 事務所の壁にかけてあるやや大きめのデジタル時計が怪しげなエメラルドブルーの光を発しながらまばゆいている。

「ん? もうこんな時間か・・・・」

伸江の視線から落ち着きのない仕草を伴い視線を外しながらタカシは一言つぶやいた。

ゴボルト商事の営業係長を務めるタカシは今年28歳。それなりに仕事に遊びに充実している日々を送っている。そんな彼だからまだまだ当分の間結婚する気はない。

ここ数年で急激に業績を伸ばしているゴボルト商事はあの世で新しく発見された鉱石である「ゴボロノイド」を独占販売している社員50名ほどの新鋭企業だ。
ゴボロノイドとはその精製された粉末を武器などを製作する際に材料に添付する事によってあの世効果が常に発動すると言う不思議な作用を有する鉱物だ。
それによって製作された武器は通常品に比べダメージ+50、修理における成功確立も99.9%と従来の鍛冶生産品の常識をくつがえしてしまう画期的な新材料なのである。

そして新商品として開発された来月発売予定の粉末のゴボロノイドをエンチャントスクロール化させた「ネオゴボロノイドES」の発売準備でてんてこ舞いの忙しさなのだ。

元々はあの世ガイレフで遺跡番をしていたモクと呼ばれる男を創始者としたゴボルト商事は社員の8割方をゴボルト族で占めた同族会社でタカシや伸江のような人間族は数えるほどだ。
しかしその顧客の90%を人間やエルフ、ジャイアント族に頼らざるを得ない現状、ミレシアン達の営業活動はなくてはならないものなのであった。


そんな数少ない人間同士としてタカシと伸江が単なる会社の同僚以上の関係であると言うことは容易に推測できる。

「そろそろ帰るか・・・・」

タカシはその肩にかけられた伸江のすらりと伸びた色白の手を軽く振りほどいて自分のデスク上にたまった書類を整頓しながらそう言った。

「あ~ 今日も一日疲れたなー お疲れさん!」

「明日の予定は・・・っと」

「朝イチでティルコネイルのファーガスにゴボロノイド15kg、急ぎらしいな・・・・」

「これは俺が直接納品したほうが早いか・・・ あのおっさん粉がないとまともな修理できないだろうしな・・・」

「で、10時からイメンマハでESのプレゼンか・・・ 結構タイトだな・・・」

ルイヴィトンのモノグラム柄のシステム手帳にわざとらしく書き込みをしながらまるで伸江の発言する隙間が一切無いようにタカシは次々と早口でまくし立てた。


「どうして・・・ どうしてなの?」

伸江は半ば苛立ったような口調でタカシの発言を打ち消すように静かに、しかし力強くつぶやいた。

「い、いや・・・ ちょっと最近いそがしすぎて・・・・」

また伸江のネガティブが始まりそうな空気だな・・・・・ 1回お情けで抱いてやったからっていって恋人ヅラされちゃかなわんな。

タカシはうんざりしながらも当たり障りの無い言い訳になっていない言い訳を口にした。


「ごめん・・・ やっぱ今日は帰るわ・・・ また落ち着いたらゆっくりメシでも行こうな・・・・」

これ以上伸江の相手をしている訳にはいかない・・・

タカシはまだ何か言いたげな伸江の視線から目をそらし逃げるように事務所を後にした。



「急いでダンバートンにやってくれ」

会社に面する大通りで流しのシャイアタクシーを捕まえ

「とにかく急いでくれ」

運転手にタカシはそう付け加えた。


「くそ、こんな事なら金曜日に蜜蝋をしっかり回収しておくべきだったな。」

独り言のようにタカシは呟きながら

「これから3人でラビ上なんだよ、 メンバー待ってるからとにかく急いでくれよな」

さらに運転手に対していかに自分が急いでいるのか?という事をアピールした。



「お客さん、2万ゴールドです」

ラビダンジョン前で運転手に規定の料金に少しだけチップ分を手渡し運転手がダンバートン方面に消えていくのを確認してから
タカシは外堀にそってダンジョンの裏手のほうに足を進めた。


 ゲイバー「ラヴィンユー」

程なく歩くとけばけばしいピンク色のネオンが点滅している小さな二階建の店舗が見えてくる・・・

「何とか間に合ったな」

タカシのお目当ては毎週金曜の夜0:00ちょうどから始まるニューハーフスタッフ全員によるショータイムだ。

「すいません、相席になりますが・・・・」

「ああ、かまわない」

美しいニューハーフたちがセクシーに、そして妖しく舞う「ラヴィンユー」ショータイムは店の名物イベントで、これを目当てにタラやフィリア、果てはパレスから駆けつけてくる常連も多い。
さらに最近新しく店に入ったジャイがかなりイケてるらしい・・・・
決して綺麗ではないが愛らしい、ダンスのキレは往年の安室ちゃんを思わせる、いや マイケルジャクソンのTHIS IS ITのオーディションにも合格したつわものだ。

噂は尾ひれがつきしまいには「ラヴィンユー ダンバ店」にはめちゃ美しいニューハーフジャイが居る。などの都市伝説的な情報としてエリン全体に広まっていった。

これらの噂は当然顧客動員に対し拍車をかけたのは言うまでもない。


タカシが店内に入り案内されたステージ右端正面のボックス席に腰をかけるとほぼ同時に店内の照明が暗転した。時刻はちょうど0:00を指している。
今まで店内のBGMとして程よい音量で流れていた70年代のソウルミュージックが一転、突然大ボリュームの激しい四つ打ちテクノトランスに変貌し、
さらにはステージ後方からおびただしい数のレーザー光線が店内のいたるところにせわしなく放射され始めた。

「レディィィィィース&ジェントルメン! イッツ・ア~ ショォォォォォォォ~ タァァァァァ~ィムゥゥゥゥ~っ!」

ピンスポットがステージやや後ろに設置されたDJブースに向けられる、キンピカの衣装をまとい派手な化粧を施したダンバ店のママでもある人気DJ、MCママーがその姿をあらわにする。


「うぉぉ~~」

「ピューピュー!」

「待ってました~!」

客席の所々からステージに向かい大きな歓声が向けられる。

タカシもまけずと

「いえぇ~~~す しょ~~~~たぁぁっぁいむぅ!」

狂ったように首を振りながら叫んだ。



「さあ、じゃあ本番よ、しっかり行こうね!」

「はいっ!」

チーママのエクレスティが本番前の心地よい緊張感に包まれているニューハーフダンサー達に激を飛ばす。

ステージ袖に待機した彼女達は今回は新衣装として全員オリエンタルな派手な装飾が施されたベリーダンスのきわどい衣装を身にまとっていた。

いや、全員ではなかった。

体のサイズに合う衣装が調達できなかったという理由でただ一人のジャイアント族であるジャイ恵には別の衣装が用意されていたのだ。





本番30分前、
楽屋ではショータイム用のメイクなどでニューハーフ達が忙しくその準備に追われている。

「はーい じゃあ 今日もがんばって行きましょうね、みなさん!」

チーママのエクレスティは全員の注目を取るため手のひらを3回ほどパンパンパンと叩き大きな声でそう言った。

「今日はみんなの新しい衣装が届きました。今日はこれを着て最高のステージを務め上げましょうね!」

「うわぁ~ かわいい~~」
「ステキだわぁ~」
「これって結構高いんじゃないんですか~?」

感嘆の言葉を口々にし、ニューハーフ達はそれぞれの名前が書いてある袋を開け、その美しく装飾された衣装を目の当たりにし、モチベーションも最高潮に達しつつあるようだ。


「あ・・・・ あのぅ・・・・  ゎ、私の衣装は???」

一人だけ袋を手渡されなかったニューハーフが居た・・・・・  そう、ジャイ恵である。


「あー ジャイ恵ちゃんか~ ごめん 服のサイズが無くって準備できないのよね・・・・」

「ん~ でも一人だけ前の衣装のままってのもね~ マズいかな~・・・・」

「あっ! そうだ! きっとこれならジャイ恵ちゃんにも着れるんじゃないかなあ~」

白々しくエクレスティは最初から足元にジャイ恵のために用意して置いてある「softbank」のロゴマークが入ったビニールコーティングされた紙袋をジャイ恵に手渡した。

「え? こ、これを・・・ わ、わたしが着るんですか?」

明らかに狼狽したような表情のジャイ恵はか細い声でエクレスティに確認する。

袋に入っていたのはおそらく人間の中学生くらいが着用すると思われる紺色の水着であった。それは一般的にはスクール水着と呼ばれるタイプの水着であり胸の辺りには「綾波」とマジックで書かれた白い布キレが無造作に縫い付けてある。


「そうよ、それ小さめだけどストレッチ素材だからきっとジャイ恵ちゃん、大丈夫だよ」

「とりあえず一度それ着てみなよ」


意地悪な上目使いでジャイ恵の表情を観察し、少しだけニヤリとしながらさらりと言ってのけた。


「は・・はい」


しぶしぶその紙袋を受け取り先輩ニューハーフたちの冷ややかな視線を背中いっぱいに感じながら部屋の片隅で出来るだけ人目につかないように着替えを始めるジャイ恵であった。


「くぅ・・・・キツいわ・・・」


当たり前である。およそ体積にして水着の規定サイズの6倍はあると思われるジャイ恵の肉体である、いくら伸縮性のある水着といえどもそのきつさ加減は尋常なものではない。


「な・・・・なんとか 着れるには着れたのですが・・・・」


水着の繊維はその強度耐久限界値を余裕でオーバーし、今にもちぎれ去らんばかりの状態で悲鳴を上げている。そしてジャイ恵の右肩と左肩、そしてその股間の3点は容赦なく食い込む水着でうっすらと赤く鬱血(うっけつ)していた。

「ぁぁ・・・ ぃ・・ 痛いっ 痛いです」

「や・・・・やっぱりこれは無理です・・・・」


伸縮の苦痛から少しでも逃れようと前かがみになりながら今にも死にそうな表情で懇願するジャイ恵。その滑稽なポーズに楽屋にいた全員が爆笑した。

「何甘えた事を言ってるのよっ! 貴女はもうプロなのよ、もっとプロ根性を持ちなさいよ!」

言ってることは確かに正論だがこれは少しケースが違う。しかしエクレスティは弱音を吐くジャイ恵を厳しい表情でぴしゃりと叱責した。

涙に潤んだ目を皆に悟られないようじっと自分の足元を見つめながらジャイ恵は

「わ・・・・ 私は負けない」

小さく自分に言い聞かせるようにつぶやいた。




「さあ、じゃあ本番よ、しっかり行こうね!」
「はいっ!」

大音量のテクノトランスを背にステージ右袖から元気よくニューハーフたちが客席の声援に手を振って答えながら飛び出していく・・・
ジャイ恵も肩と股間の痛みをこらえながら、ステージにその姿を現した。

「うぉぉお~~~」
「あれが噂のジャイか?」
「ひでーーーーwwww」
「おいおい、ありゃ犯罪じゃねえか?」
「かなり痛そうじゃね?wwww」

美しいニューハーフたちに混ざってとてもマトモとは言えない格好で登場したジャイ恵に対し多くの観客達はからかい半分にヤジを飛ばす。

しかしその観客の中、一人だけ真剣なまなざしで食い入るようにジャイ恵の股間を凝視していた男がいた・・・・ 

タカシである。


   つづく   


 ☆次回 ジャイ恵とタカシの衝撃的な出会い 揺れ動く乙女心の行く末はいかに?






マビノギ ランキング

って言うか第二話って何勝手にシリーズ化してるのよw
でも写真がないと更新が楽だね。
























上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。